しゃべる猫と妄想推理──そんなユニークな設定に惹かれて読み始めたのが、深木章子さんの『猫には推理がよく似合う』です。
猫好きに刺さる“ゆるかわ”な雰囲気と、意外性あふれる展開のギャップに、ページをめくる手が止まりませんでした。
見た目は癒し系、でも中身は本格派。しゃべる猫・スコティの推理合戦に付き合っているうちに、気づけばがっつりミステリーの世界に引き込まれていました。
この記事では、そんな本作の基本情報、感想、読みどころをじっくり紹介します。読後には、きっと他の深木作品も読みたくなること間違いなしです。
『猫には推理がよく似合う』の基本情報とあらすじ
作品名 | 猫には推理がよく似合う |
著者名 | 深木章子(みき あきこ) |
出版社/発売年 | KADOKAWA/2016年初版・2019年文庫 |
ジャンルと雰囲気 | 猫が事件を推理する本格×ユーモア系ミステリー |
とある弁護士事務所に勤める花織は、先生に寄せられる依頼を盗み聞きしては、“おしゃべりする猫”のスコティと噂話に花を咲かせていた。ある日、愛らしく気高くちょっと生意気なスコティが、推理合戦を仕掛けてくる。「もしいま先生が殺されて、金庫の中身が盗まれたら、犯人は誰だと思う?」。金庫に入っているのは、5カラットのダイヤ、資産家の遺言書、失踪人の詫び状、12通の不渡り手形。怪しい依頼人たちを容疑者に、あれこれと妄想を膨らますふたり(1人と1匹)だったが、なぜか事件が本当に起きてしまい―。現実の事件と、謎解きに興じる“しゃべる猫”の真実は?ミステリ界注目の気鋭による、猫愛あふれる本格推理。
引用:Amazon
『猫には推理がよく似合う』を読んだきっかけ
kindle umlimitedの対象作品となっており(2025年5月現在は対象外)、題名と表紙の猫ちゃんに惹かれてダウンロード。
kindle端末の不具合などが重なって積本となっていたのですが、軽くあらすじを読んでみると弁護士事務所が舞台だとわかり、これは読まなくては!と謎の義務感とともに読み始めました。
『猫には推理がよく似合う』がくれた気持ちと気づき
ネタバレにならない内容となっていますが、まっさらな状態で楽しみたいという方はご注意ください。
猫による、猫好きのための1冊──まさにそんなキャッチコピーがぴったりの小説です。しゃべる猫・スコティの描写がとにかくリアルで、「猫ちゃんかわちい~」と心をつかまれたまま、ページをめくる手が止まりませんでした。
ところが、ゆるっとした雰囲気に油断していると、物語は思いがけない方向へと進んでいきます。予想を裏切る展開が続き、最後まで飽きずに読めました。
ほんわか系かと思いきや、しっかり本格ミステリーの要素もあり、猫好きだけでなく推理小説好きの方にもおすすめです。
個人的には、弁護士事務所の描写がやけにリアルで「あるある!」と共感ポイント多数(笑)。解説によると、著者の深木章子さんは元弁護士とのことでしっかり納得しました。
本作はほかの作品と比べて一風変わったものとのことなので、ぜひ他の作品も読んでみたくなる1冊でした。
『猫には推理がよく似合う』はこんな人におすすめ
- 猫が好きで、猫が出てくる物語を読みたい人
- 本格ミステリーは好きだけど、ちょっとユーモラスな要素も欲しい人
- 想像もしないようなどんでん返しの展開が好きな人
読みやすさもありながら、内容の濃さが両立した一冊なので、ミステリー初心者さんにもぴったりです。
まとめ
『猫には推理がよく似合う』は、しゃべる猫と弁護士助手のコンビが織りなす、ユニークで心地よいミステリーです。
ゆるさと緊張感、本格とユーモアが絶妙なバランスで共存しており、猫好きはもちろん、推理小説にちょっと疲れた人にも優しく寄り添ってくれます。
日常の合間に楽しめる“癒し系ミステリー”を探している方は、ぜひ手に取ってみてください。