任侠の一門に生まれた少年が、やがて“国の宝”と称される歌舞伎役者へと成長していく――。
映画『国宝』は、吉沢亮と横浜流星が圧巻の演技でぶつかり合いながら、芸に生きる男たちの宿命と絆を描き出す壮大なヒューマンドラマです。公開直後から大きな話題を呼び、興行収入はついに100億円を突破。その熱狂ぶりも注目を集めています。
吉田修一の傑作小説を原作に、言葉では伝えきれない想いと、芸にすべてを捧げた人間たちの物語をスクリーンで堪能してきました。本記事では、国宝を見た感想や関連書籍などたっぷり紹介します。
映画『国宝』基本情報をあらすじ
タイトル | 国宝 |
監督 | 李相日 |
出演者 | 吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、田中泯、渡辺謙 ほか |
原作作品 | 吉田修一(同名小説『国宝』、朝日新聞出版刊) |
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、 上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。 そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。 正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。 ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。 血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。 もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか? 圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。
引用:映画『国宝』公式サイト
映画『国宝』を見たきっかけ
映画館で始まる前の予告を見たのが「国宝」を知ったきっかけでした。予告からでもわかる「この映画、なんだかすごそう」という感覚に、これは始まったら見に行かないとなと思っていました。
ただ、いざ解禁されると、上映時間が3時間と聞き、恐れおののいてしまい少し様子見をすることに。しかし、時間が経つにつれ、絶対に見た方がいいという投稿が増え、これはネタバレを踏んでしまう……ということで、ボンタンアメをにぎりしめて(トイレ対策おすすめです☆)、見に行ってきました。
映画『国宝』の感想
CMで流れているシーンのみに言及するようにしていますが、少しでもネタバレを回避したい・まっさらな気持ちで映画を楽しみたい人は飛ばしていただくのがおすすめです。
役者さんたちの演技力でぶん殴られる。そんな映画でした。
なんといっても、吉沢亮くんと横浜流星くんの歌舞伎の演技。撮影期間も入れて、1年半お稽古をされていたとのことですが、歌舞伎のシーンだけでも、見てよかったと思えるほど完成度が高かったです。……と言いながら、実は歌舞伎は見たことはないので、完成度が高いと言える立場ではないのですが、歌舞伎を見てみたい!と思える歌舞伎のシーンでした。
個人的に一番ぐっときたシーンは屋上のシーンです。どんなことがあっても、踊り続けてしまう喜久雄。あぁ、本当に芸に生きている人なんだなぁと思うシーンです。
私ごときが語れるものではないですが、幼少期からダンスをやっていて、才能あるダンサーと出会う機会もありました。そういう人たちって、人間関係でトラブルがあろうが、緊張で過呼吸を起こして倒れかけようが、絶対に踊り続けているんですよね。これが才能か、とリアルで思ったことが、このシーンの喜久雄にも感じられました。
個人的には、中学生の喜久雄と俊介も本当に素敵で、自転車に二人乗りをして桜並木を走るシーンは、思わず声を出しそうになったぐらいに幻想的で大好きなシーンです。
3時間近い作品とは言え、文庫本2冊をまとめているので、端折っているんだろうなぁと思うところもしばしば感じられたので、原作を読んで補完したいなと思っています。
3時間もあるのかぁと若干渋りましたが、見に行って本当によかった!と思えた映画でした。気になっている方はぜひ、スクリーンでご覧になることをおすすめします◎
映画『国宝』の関連書籍
最後に映画「国宝」の関連書籍を紹介します。
- 国宝
- 曾根崎心中
- 歌舞伎の101演目 解剖図巻
映画を見た人はもちろん、これから楽しむ人にとってもおすすめの本なので、ぜひ気になった方は手に取ってみてください。
国宝
本作の原作。青春篇と花道編の上下巻となっています。
3時間という長編とはいえ、きっと端折られているところがあるんだろうなぁと感じる部分はあったのですが、映画を見てからSNSで感想を読んでみると、原作を読めばわかりますといった投稿をちらほら見かけたので、ぜひ補填する形で読んでみたいなと思っている所存です。
先日近所の本屋さんで購入しようやく読み始めたので、読了したらまた感想をまとめたいと思います◎
1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか? 朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。
鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにある。
引用:Amazon
曾根崎心中
「国宝」の作中にも出てくる歌舞伎の演目「曾根崎心中」。角田光代さんが現代語訳で小説化されているのをなんと国宝を見た後に発見し、これはぜひ読まないと!と手に取った一作です。
「国宝」でも重要なシーンで出てくる演目なので、前提知識として読んでみるのもいいでしょう。
私は映画を履修後、原作を読む前に挟んでみました。現代語訳なのでさらっと読めるので、ぜひ挑戦してみてください。
著者初の時代小説 300年の時を超え、究極の恋物語がふたたび始まる。
============ 愛し方も死に方も、自分で決める。
ーー 江戸時代、元禄期の大坂で実際に起きた、醤油屋の手代・徳兵衛と、 堂島新地の遊女・初の心中事件をもとに書かれた、 人形浄瑠璃の古典演目『曾根崎心中』の小説化に、角田光代が挑みました。
原作の世界を踏襲しながら、初の心情に重きを置き、 運命の恋に出会う女の高揚、苦しみ、切迫、その他すべての感情を、 細やかな心理描写で描ききり、新たな物語として昇華させました。
運命の恋をまっとうする男女の生きざまは、 時代を超えて、美しく残酷に、立ち上がる― この物語は、いまふたたび、わたしたちの心を掻きたてます。
歌舞伎の101演目 解剖図巻
映画の感想を読み漁っているときに見つけた以下のポスト。まだ手に取れてはいないのですが、ぜひ読んでみたいなと思っている1冊です。
ほかの作品でも、歌舞伎の演目が土台になっているものがあったりして、歌舞伎を知ったらもっと創作を楽しめるんだろうな~と思いつつも、なかなか見に行くのは敷居が高いので、入門として読んでみたいなと思っています。
国宝を見て、もっと歌舞伎を知りたい!と思った人、ぜひ一緒に本書で第一歩を踏み出しましょう!
まとめ
映画『国宝』は、任侠の家に生まれた少年が“国宝”と呼ばれる歌舞伎役者になるまでの、波乱と情熱に満ちた人生を描いた壮大なヒューマンドラマです。血筋や才能、信頼と裏切り、歓喜と絶望――さまざまな感情が交錯するなか、主人公たちは芸にすべてを捧げ、舞台の上で生き続けます。
吉沢亮×横浜流星による魂を揺さぶるような演技は圧巻で、まさにスクリーンでこそ味わいたい作品。3時間という長さを感じさせないほど、物語の世界に引き込まれました。
見終えたあとには、原作小説や関連本を通じて、より深く登場人物たちの背景や心情に触れたくなるはず。気になった方はぜひチェックしてみてください◎