シェイクスピアの四大悲劇の一つ『マクベス』を、藤原竜也と土屋太鳳の共演で観劇してきました。
予言に翻弄され、野望と愛に燃え、やがて狂気へと陥っていく夫婦の姿を描いた本作。演出・上演台本を手がける吉田鋼太郎氏による「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」の第2弾です。
愛と狂気が交錯する舞台は、観る者の心を激しく揺さぶる究極の悲劇でした。本記事では観劇の感想や関連書籍も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
『マクベス』の基本情報とあらすじ
作品名 | マクベス |
作者 | ウィリアムス・シェイクスピア |
演出・上演台本 | 吉田鋼太郎 |
キャスト | 藤原竜也・土屋太鳳・河内大和・廣瀬友祐・井上祐貴 他 |
マクベス(藤原竜也)とバンクォー(河内大和)は荒野で三人の魔女(吉田鋼太郎ほか)と出会い、魔女たちはマクベスがコーダーの領主となり、国王となることと、バンクォーの子孫が王となることを予言する。夫からの手紙で予言について知ったマクベス夫人(土屋太鳳)は、野望を遂げさせようと決意。マクベスはダンカン王(たかお鷹)を暗殺し、王座を手にするが、すぐさま良心の呵責に苛まれていく。不吉な予言に不安と怒りに駆られ、マクベスはさらに残忍な行為を重ね、気丈だったはずのマクベス夫人は罪悪感と血の幻影に悶え苦しみ錯乱状態に陥っていく。マクベスへの復讐をたぎらせるマクダフ(廣瀬友祐)とマルカム(井上祐貴)の軍勢が攻め入り、荒唐無稽な予言は現実のものとなっていく――。
『マクベス』を見たきっかけ
昨年、吉田鋼太郎さんによる新シリーズ「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd」がスタートし、記念すべき第1作目である『ハムレット』を観劇。せっかく第1作を見たのなら、第2作も見なくては……!!ということで、『マクベス』も見に行くことになりました。
吉田鋼太郎さんが蜷川幸雄さんから引き継いだ「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は最後の小栗旬さん主演『ジョン王』しか見れなかったので、2ndではできる限り見に行きたい所存……!!
『マクベス』の感想
「狂気」の表現が圧巻でした。マクベスとマクベス夫人の純度の高い愛が、3人の魔女の予言をきっかけに野心へと変わり、徐々に狂気へと発展していく様子は、観客である私自身もざわざわとした不安を感じるほどでした。
個人的にシェイクスピア作品では嘆きの場面に特に感銘を受けるのですが、今回も例外ではありませんでした。特に印象的だったのは、マクダフが家族の死を知った瞬間と、マクベスがマクベス夫人の死を知らされた場面です。本当に胸が締め付けられる思いでした。
マクベス夫人の死を知った場面では、舞台袖の幕がすべて一斉に落ちた瞬間、舞台上からも客席からも音という音が消え、その悲しみがより一層心に刺さりました。
シェイクスピア作品を観るのは4回目ですが、どれだけ予習をしても、内容の難解さやセリフの独特な言い回しに、気を抜くと言葉が頭に入ってこないことがあります。それでも今回は、役者たちの力強い演技に引き込まれ、エネルギーをもらいながら素晴らしい時間を過ごすことができました。
『マクベス』の関連書籍
以下では、舞台「マクベス」を理解を深めるための関連書籍をいくつか紹介します。シェイクスピア作品や「マクベス」に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
- マクベス
- 別冊NHK100分de名著 読書の学校 あさのあつこ 特別授業『マクベス』
- No.6
1つずつ見ていきましょう。
マクベス
原作ともいえる、マクベスの戯曲です。戯曲なので、台本式に書かれているため、セリフと舞台指示が明確に区別されており、テンポよく読み進められます。
今回、私は時間がなく観劇前に読めなかったのですが、観劇後に舞台演出と原作を比較する形で読んでも非常に楽しく、新たな発見があるかなと思います。
シェイクスピア作品は、基本的にこうして戯曲が手に入るので、観劇の予習・復習として使えるのもいいですね。また、様々な翻訳者による異なる解釈も楽しめるのが戯曲ならではの魅力といえるでしょう。
別冊NHK100分de名著 読書の学校 あさのあつこ 特別授業『マクベス』
この本は、マクベスを解説している本がないかなと検索しているときに見つけました。どちらかというと、どのように本への理解を深めていくのか、といった内容ではありましたが、物語への解釈を深める方法だけでなく、さまざまな学生のマクベスの解釈を知れて、とても面白かったです。マクベスについての知識を得られるだけでなく、文章を書く者として多くの学びがありました。マクベスだけではなく「物語をより深く楽しみたい」という方にもおすすめの一冊です。
No.6
上記の『別冊NHK100分de名著 読書の学校 あさのあつこ 特別授業『マクベス』』を読んで初めて知ったのですが、この小説では作中にシェイクスピアの『マクベス』が重要な作品として登場しているとのこと!
実際に『マクベス』を観劇したからこそ、作品世界をより楽しめるのではないかと思うので、ぜひ近いうちに読んでみようと思います。
2013年の未来都市《NO.6》。人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう? 飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに……。「わたしはNO.6という物語の中で、生きる希望とやらを掴んでいけるのだろうか」
引用:Amazon
まとめ
愛と狂気の物語、マクベス。シェイクスピアの4大悲劇の1つである本作を藤原竜也さんを始めとした、豪華な役者陣で見れて、とても贅沢な時間を過ごせました。
役者さんたちの凄まじいパワーを感じる一方で、難解に感じる部分も多く、より楽しむためにも、シェイクスピア作品への知識を深めたいなと感じました。
この記事を読んで、舞台やシェイクスピアへの興味を持っていただける方がいらっしゃれば嬉しいです◎